スルツェイ火山島は、南岸から約32km沖に位置する、1963年から1967年にかけての火山噴火によって誕生した新しい島です。誕生した直後から保護の対象となったため、人間の干渉を受けていない、独自の自然の実験場を世界に提供しています。
1964年の観測開始以来、海流によって運ばれた種子の漂着や、カビ・細菌・菌類の出現が確認され、1965年には最初の維管束植物が確認されました。最初の10年で植物は10種となり、2004年までに60種の維管束植物、75種のコケ類、71種の地衣類、24種の菌類が記録されています。
島では89種の鳥類が確認され、うち57種は他地域でも繁殖しており、面積141haの島には335種の無脊椎動物も生息しています。誕生から半世紀以上を経てもなお、生物が新しい土地へと定着していく過程を継続的に観察できる、世界でも類を見ない場となっています。
研究者以外の立ち入りが厳しく制限されているため、人為的な影響をほとんど受けない状態が保たれており、生態系の原初的な形成過程を記録し続けています。誕生から現在に至る変化が科学的に記録され続けている点は珍しく、生命が新しい土地に根づく過程を知るうえで貴重な研究対象とされています。