AhmadElhan, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons
ジャームのミナレットと考古遺跡群は、山間の渓谷に位置する遺跡です。高さ65mのジャームのミナレットは12世紀にさかのぼる優美な塔で、精緻なレンガ細工と、上部にトルコ石色のタイルによる銘文が施されています。その建築と装飾の質の高さは、この地域における建築・芸術の伝統の集大成を示すものとされています。
周囲を山々に囲まれた深い渓谷という劇的な立地も、この建造物の印象を高めています。1194年、当地を治めたスルタンによって建立されたとされ、その所在地はかつての夏の首都であったとされる古都の跡地であると考えられています。
このミナレットの様式はその後インド亜大陸にも大きな影響を与え、遠くデリーのクトゥブ・ミナールの建設にも通じる、建築史上重要な位置を占めています。建立から800年近くが経った現在も大規模な修復や再建は行われておらず、当時の姿をほぼそのまま残す、きわめて希少な建造物として位置づけられています。
人里離れた渓谷という立地は交通の便が悪い反面、外部からの破壊や改変を免れる要因ともなり、今日まで往時の姿を守り続けてきました。周辺には墓石やイスラム碑文、貯水施設の跡なども点在し、往時の集落の広がりを今に伝えています。