シルヴァンシャー宮殿と乙女の塔のある城壁都市バクーは、首都バクーの旧市街にある歴史地区です。旧石器時代から人が住んでいたこの地には、ゾロアスター教、ササン朝、アラブ、ペルシャ、シルヴァン、オスマン、ロシアなど、さまざまな文化が継続して存在してきた痕跡が残されています。城壁に囲まれた旧市街「イチェリシェヘル」には、12世紀の防御壁の多くが今も保存されています。
12世紀に建てられた乙女の塔は、紀元前7世紀から6世紀にさかのぼるより古い構造物の上に築かれたものです。また15世紀に建てられたシルヴァンシャー宮殿は、地域の建築を代表する建造物のひとつとされています。狭い路地や中庭が入り組む旧市街の街並みは、複数の文明が層を重ねながら共存してきた歴史そのものを物語っています。
宮殿群には謁見の間や霊廟、モスク、浴場なども含まれており、当時の宮廷生活や信仰のあり方を今日に伝える貴重な建築群となっています。石造りの家並みと石畳の小道が続く旧市街は、カスピ海に面した交易都市として栄えた往時の面影を色濃く残す、歴史散策にふさわしい街並みです。
乙女の塔の名の由来には諸説があり、その謎めいた成り立ちも、この城壁都市の魅力を一層引き立てています。