ドロミテ山塊は、イタリア北東部の南チロル、ベッルーノ、フリウリ地方にまたがる山岳地帯からなる世界遺産です。18の峰が標高3000メートルを超え、垂直に切り立った岩壁と尖塔状の山容を特徴とする独特の景観を形成しています。
山を構成する主要な岩石はドロマイトと呼ばれる炭酸塩岩で、この鉱物を分析し命名したフランスの地質学者デオダ・ド・ドロミューにちなんで山塊名が付けられました。約2億5千万年前のテチス海の浅瀬で形成されたサンゴ礁や堆積物が起源とされ、その後の地殻変動によって隆起し現在の姿となりました。
侵食作用によって形成された峡谷や尖峰、垂直の岩壁が織りなす景観は登山や写真撮影の対象として世界的に知られています。氷河期には広範囲が氷河に覆われ、その後の融解によって現在見られるU字谷や圏谷などの氷食地形が各所に残されており、地質学的な価値に加え、氷河期以降の地形変化を読み取れる学術的な価値も認められています。
夕暮れ時に岩肌が赤紫色に染まる現象は「エンロサディーラ」と呼ばれ、地元の伝説とも結びつけられながら古くから人々に親しまれてきました。峰々の間には牧草地が点在し、高地放牧の伝統が険しい岩峰群と対照的な穏やかな景観を作り出しています。
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