タスマニア原生地帯は、オーストラリアのタスマニア島南西部に広がる広大な原生自然地域で、世界遺産に登録された複合遺産です。氷河期の影響を受けた地形や深いユーカリ林、亜寒帯性の湿原など多様な生態系が広がり、南半球でも数少ない温帯原生林の大規模な残存地域として国際的に高く評価されています。
この地域には数万年前からアボリジニが居住していた痕跡も確認されており、洞窟遺跡からは狩猟採集生活の跡や道具が出土し、氷河期における人類の南限に近い生活の実態を伝えています。固有種であるタスマニアデビルをはじめとする希少な動物相も豊富に生息し、島の隔絶した地理的条件が独自の生態系の進化を促してきました。
人の手がほとんど入っていない原生自然と、長い先住民の生活史が重なり合う地域として、自然遺産と文化遺産双方の基準を満たす複合遺産に登録されています。急峻な渓谷や激しい急流が続くフランクリン川流域は、1980年代にダム建設計画をめぐる大規模な自然保護運動の舞台となったことでも知られ、オーストラリアの環境保護政策の転換点とされています。
人跡未踏の景観は多くの登山者やハイカーを惹きつけています。
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