クロアチア西部のイストリア半島に位置するポレチュの歴史地区には、6世紀に建立されたエウフラシウス聖堂を中心とする司教関連建造物群が残されています。この聖堂は、初期ビザンティン様式の建築とモザイク装飾の傑作とされ、後陣に描かれた聖母子や聖人を主題とする金地のモザイクは、保存状態の良さと色彩の鮮やかさで広く知られています。
聖堂に併設された洗礼堂、司教館、中庭(アトリウム)なども当時のまま良好に保存されており、初期キリスト教時代の司教座聖堂群の構成を総合的に理解できる稀有な事例とされています。建材の一部には、聖堂建設以前にこの場所にあった古代ローマの邸宅やより古い時代の礼拝堂の遺構も取り込まれており、複数の時代の建築が重層的に積み重なった歴史を今に伝えています。
床面には古代の床モザイクの一部も残されており、発掘調査によって初期キリスト教の集会所としての利用段階まで遡ることができます。モザイクに用いられたガラスや貝殻、真珠母貝などの素材は当時としては非常に高価であり、司教座の財力と重要性の高さを物語っています。中庭には初期キリスト教時代の墓碑も残され、共同体の信仰生活の一端を伝えています。
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