アドリア海に臨むクロアチア南端の港湾都市ドゥブロヴニクの旧市街は、13世紀から17世紀にかけて独立した海洋商業国家ラグーサ共和国として繁栄した歴史を伝える城塞都市です。全長約2キロメートルにわたって町を取り囲む堅固な城壁は、ほぼ完全な形で現存しており、地中海地域における中世都市防衛建築の代表例とされています。
城壁内には、共和国の統治機構を象徴する総督宮殿、ゴシックとルネサンス様式が融合した修道院群、噴水施設など、当時の共和国の繁栄を伝える建造物が密集しています。1667年の大地震で多くの建物が被害を受けましたが、その後バロック様式で再建され、災害からの復興の歴史も都市景観に刻まれています。
1991年から1992年にかけての紛争でも被害を受けましたが、国際的な支援のもとで修復が進められました。城壁上の遊歩道からは旧市街全体とアドリア海を一望でき、赤い瓦屋根が連なる街並みは中世海洋都市の景観を今日まで色濃く伝えています。
共和国は独自の外交と海運によって強国の狭間で自治を保ち続けた歴史でも知られており、当時の商船隊は地中海貿易の一翼を担う存在として各地で活躍しました。
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