ケニア沿岸部のラム島にある旧市街は、東アフリカのスワヒリ海岸に現存する最古かつ最も保存状態の良いスワヒリ交易都市とされています。14世紀頃から交易拠点として発展し、アラビア半島、インド、ペルシャ、そしてアフリカ内陸部を結ぶインド洋交易網の要衝として長く繁栄しました。
狭い街路が入り組む町並みには、サンゴ石を積み上げて建てられた住宅が密集し、精緻な彫刻が施された木製の扉や、通風と採光を工夫したバルコニー状の構造など、スワヒリ建築特有の意匠が随所に見られます。
住民の生活様式や祭礼、宗教行事にも、アラブ、ペルシャ、インド、アフリカの各文化が融合したスワヒリ文化の特色が色濃く残されており、今日でも伝統的な木造帆船ダウ船による漁業や交易が営まれるなど、交易都市としての暮らしが受け継がれています。町には自動車がほとんど入らず、ロバや徒歩による移動が主流となっている点も特徴で、中世以来の生活のリズムが今も保たれています。
町には19世紀に建てられたラム要塞やモスクも点在し、スワヒリ社会における宗教生活の中心地としての性格も色濃く残されています。伝統工芸である木彫りの扉づくりも地域の重要な産業として今日まで継承されています。
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