シエナの歴史地区は、イタリア中部トスカーナ州にある中世都市の中心部からなる世界遺産です。12世紀から15世紀にかけてフィレンツェと並ぶ有力な都市国家として繁栄し、銀行業と毛織物業によって富を蓄積しました。扇形の広場カンポ広場を中心に放射状に広がる都市構造は、ゴシック様式の都市計画理念を体現しており、以後の都市建設の模範とされました。
プッブリコ宮殿やマンジャの塔、大理石の縞模様が特徴的な大聖堂など、中世末期の建築が良好な状態で保存されています。市内には毎年7月と8月に競馬祭パリオが開催されるカンポ広場を中心に、17の地区(コントラーダ)による独自の共同体組織が今も維持されています。
1348年のペスト流行により都市の拡張が停止したため、それ以前の中世の都市構造がほぼそのまま凍結され、現代まで大きな改変を受けずに継承されました。
ドゥッチョやシモーネ・マルティーニらが活躍したシエナ派絵画は、フィレンツェ派と並ぶ独自の様式を築き、黄金背景を用いた宗教画で知られ、大聖堂付属美術館にはドゥッチョの代表作「マエスタ」の一部が収蔵され、当時の絵画技法の到達点を今に伝えています。
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