マテーラの洞窟住居サッシと岩窟教会公園は、イタリア南部バジリカータ州にある世界遺産です。石灰岩の渓谷斜面を掘削して造られた洞窟住居「サッシ」が密集する地区で、旧石器時代から人々が継続的に居住してきたとされ、地中海地域における最も古い定住形態の一つを示す事例とされています。
中世には岩壁をくり抜いた岩窟教会が多数建設され、ビザンティン美術の影響を受けたフレスコ画も残されています。住居は自然の地形と一体化した構造を持ち、雨水を集めて生活用水として利用する貯水槽や排水路を組み合わせた精巧な水利システムが谷全体に張り巡らされていました。
斜面に沿って上下に重なるように築かれた住居群は、上の家の屋根が下の家の広場や通路を兼ねるなど、限られた空間を立体的に活用する構造となっています。谷の対岸には初期キリスト教時代にさかのぼる岩窟聖堂群が並び、内部に描かれたフレスコ画は東方正教の影響を受けた図像表現を示しています。
20世紀半ばには衛生状態の悪化から住民の強制移住が行われましたが、その後保存と再生が進められ、現在は当時の生活様式を伝える貴重な遺構として保護されています。
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