クレスピ・ダッダの企業都市は、イタリア北部ロンバルディア州のアッダ川沿いに築かれた工場労働者のための計画都市からなる世界遺産です。19世紀末、紡績業を営むクレスピ家が自社工場の労働者とその家族のために建設したもので、工場、住宅、学校、病院、教会、劇場、墓地までを含む自己完結的な共同体として計画されました。
住宅は労働者の階層に応じて規模や様式が細かく設計され、緑地帯や庭園を伴う衛生的な住環境が提供された点が特徴です。当時のヨーロッパで広がっていた企業家による理想的な労働者コミュニティの構想を、比較的よく保存された形で今日に伝える稀少な事例とされています。
工場は1929年の世界恐慌後に経営者が交代しましたが、都市の基本構造は大きな改変を受けることなく維持されました。住宅の窓の配置や庭の広さに至るまで細かく規格化されており、単なる集合住宅地ではなく企業の理念を体現する空間として設計された点が評価されています。
集落の中心には創業者一族の邸宅が丘の上に建てられ、工場や住宅街を見下ろす配置が採られており、当時の家父長的な経営理念を空間構成の面からもうかがい知ることができます。
📷 気になる書籍の画像を押すと、Amazonで商品の詳細を確認できます。
Amazonのアソシエイトとして、当サイトは適格販売により収入を得ています。