ヴァッハウ渓谷の文化的景観は、オーストリア北東部を流れるドナウ川沿いの渓谷地帯にある世界遺産です。中世以来、この渓谷では急峻な斜面を利用したブドウ栽培が営まれ続けており、段々畑状に整備された葡萄畑と、川沿いに点在する集落、修道院、城郭が一体となった景観を形成しています。
メルク修道院をはじめとする壮麗なバロック建築が渓谷を見下ろす丘の上に築かれ、ドナウ川の水運と結びついた交易・宗教の要衝として長く栄えてきました。伝統的なワイン造りの技術は現在も継承されており、地域経済の重要な基盤となっています。
中世の城砦遺構や集落の街並みが自然景観と調和しながら保存されている点が高く評価され、ヨーロッパにおける河川沿いの文化的景観の代表例として国際的に知られています。渓谷沿いには先史時代の遺跡も点在し、有名な女性小像「ヴィレンドルフのヴィーナス」が発見された地としても知られています。
デュルンシュタインの町を見下ろす丘には中世の城塞跡が残り、イングランド王リチャード1世が幽閉されたという伝承でも知られています。急峻な岩山の間を蛇行するドナウ川の景観は、春には杏の花が咲く果樹園とあわせて特に美しいとされ、多くの旅行者を惹きつけています。
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