ハルシュタット=ダッハシュタイン/ザルツカンマーグートの文化的景観は、オーストリア中部のアルプス山中にある湖畔集落と周辺の景観からなる世界遺産です。ハルシュタット湖畔に築かれた集落は、紀元前1000年頃から岩塩の採掘によって繁栄してきたことで知られ、鉄器時代の一時期を指す「ハルシュタット文化」の名称の由来ともなった地域です。
急峻な山肌にへばりつくように家屋が密集する独特の町並みは、地形的制約の中で発展してきた集落景観として高く評価されています。周辺にはダッハシュタイン山塊の氷河や鍾乳洞など雄大な自然景観も広がり、湖水と山岳が織りなす風光明媚な景観は多くの旅行者を惹きつけてきました。
現在も稼働する岩塩坑は世界最古級とされ、数千年にわたり継続してきた採掘活動の歴史を今に伝えています。集落の墓地からは岩塩によって保存された古代の遺体や副葬品も発見されており、鉄器時代の社会構造を知る貴重な資料となっています。急斜面という制約の中で生活空間を最大限に活用してきた工夫も、この集落景観の独自性を際立たせています。
夏には牛が高地の牧草地に放牧される移牧の伝統も残され、周辺一帯は国立公園にも指定され、保全と観光利用の両立が図られています。
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