グラーツ:歴史地区とエッゲンベルク城は、オーストリア南部の都市グラーツにある歴史的市街地と郊外の宮殿からなる世界遺産です。中世からハプスブルク帝国の辺境防衛拠点として発展したグラーツには、ゴシック、ルネサンス、バロックなど各時代の建築様式が混在し、中欧における都市建築の多様な影響関係を示す事例として評価されています。
旧市街には武具庫であるツォイクハウスや、時計塔が立つシュロスベルクの丘など特色ある建造物が残されています。郊外に位置するエッゲンベルク城は、17世紀に建設された壮大なバロック様式の宮殿で、暦や宇宙の秩序を象徴する厳密な数比に基づいて設計された点が特徴とされ、部屋数や窓の数などが暦の日数や季節と対応するよう計画されています。
都市と郊外の宮殿が一体として登録されている点も特徴的です。旧市街は五つの丘に囲まれた盆地状の地形に発展し、周辺地域からの人や物の交流が交わる要衝として機能してきました。エッゲンベルク城の主室には、天球や星座を主題とした精緻な装飾が施されており、当時の宇宙観や自然哲学が建築設計に反映された稀少な事例としても評価されています。
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