キプロス島南西部に位置するパフォスは、古代ギリシャ神話で愛と美の女神アフロディーテが海から誕生した地とされ、紀元前12世紀頃からその信仰の中心地として栄えました。考古遺跡には、女神を祀った神殿の遺構のほか、ローマ時代に築かれた総督の邸宅群が含まれ、なかでもディオニュソスの家などの邸宅に残る精緻なモザイク画群が広く知られています。
ギリシャ神話の場面や日常生活を描いたこれらのモザイクは保存状態が良く、古代地中海世界の美術と生活文化を伝える貴重な資料となっています。遺跡群には円形劇場やアゴラ、初期キリスト教の聖堂跡、中世の城塞なども含まれ、先史時代から中世に至るまで長期間にわたり続いた都市の重層的な歴史を示しています。
とりわけディオニュソスの家に描かれた葡萄酒の神ディオニュソスの凱旋を主題とするモザイクは保存状態が極めて良く、古代モザイク美術を代表する作例として知られています。発掘は20世紀に入ってから本格化し、現在も新たな邸宅やモザイクが発見され続けています。
港湾都市であったパフォスはローマ帝国支配下でキプロス島全体の行政の中心地としての役割も担っており、古代地中海世界における文化交流の要衝としての性格も併せ持っていました。
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