キプロス島中央部のトロオドス山地には、ビザンティン様式の壁画で装飾された小規模な教会や修道院が点在しており、その代表的な9件が世界遺産として登録されています。これらの建造物は12世紀から17世紀頃にかけて建てられ、外観は木造の切妻屋根を持つ質素な造りである一方、内部には旧約・新約聖書の場面や聖人を描いた壁画が壁面から天井まで隙間なく描かれています。
険しい山中に位置することからビザンティン美術の様式が比較的良好に保存され、時代ごとの美術様式の変遷をたどることができる点が評価されています。代表的な構成資産にはパナギア・トゥ・アラク教会やスメルギス修道院などが含まれます。これらの教会は現在も地域の信仰の対象として維持されており、山地の集落と一体となった宗教的景観を形づくっています。
多くの教会は外部から見ると民家と見分けがつかないほど簡素な造りとなっており、オスマン帝国支配下で目立つ宗教建築を避ける必要があった当時の事情も反映していると考えられています。内部の壁画は奉納者や制作者の銘文が残る例もあり、地域の信仰共同体の記録としても貴重で、山地の集落に暮らす人々の信仰の連続性を裏づける資料となっています。
📷 気になる書籍の画像を押すと、Amazonで商品の詳細を確認できます。
Amazonのアソシエイトとして、当サイトは適格販売により収入を得ています。