キューバ南部の港湾都市シエンフエゴスの歴史地区は、19世紀にフランス系移民の入植によって建設された都市計画を今に伝える地区です。スペイン植民地時代の他の都市とは異なり、啓蒙主義の思想に基づく近代的な都市計画理念に沿って計画的に整備され、直線的な街路網と広場を中心とした明快な都市構造を持つ点が特徴です。
中心となるホセ・マルティ広場の周囲には、新古典主義様式の市庁舎や劇場、大聖堂などの公共建築が整然と配置され、直交する街路網が広場から放射状に都市全体へ広がっています。19世紀後半から20世紀初頭にかけて砂糖産業で繁栄したことを背景に、装飾性の高い邸宅や商業建築も数多く建設されました。
町の名を冠したホセ・マルティ広場に面するテレサ劇場や大聖堂などの主要建築は、フランス建築の様式を色濃く反映しています。都市計画には碁盤目状の街区に加え、住民の健康に配慮した通風や採光への工夫も取り入れられており、当時としては先進的な衛生思想と近代的な公衆衛生観が色濃く反映されています。
ラテンアメリカにおける近代都市計画の初期の実例として高く評価されており、砂糖産業で栄えた同時代の都市とは異なる計画理念に基づく町並みが今も維持されています。
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