ギリシャ・ペロポネソス半島中央部、標高1130メートルの山中に位置するヴァッセのアポロン・エピクリオス神殿は、紀元前5世紀に建設された古代ギリシャの神殿です。疫病を治癒する神として崇められたアポロンに捧げられ、設計にはパルテノン神殿の建築にも携わったとされる建築家イクティノスが関わったと伝えられています。
この神殿は、ドーリア式、イオニア式、コリント式という古代ギリシャ建築の三様式すべてを一つの建物の中に取り入れた点で建築史上特異な存在とされています。内部の柱頭に用いられたコリント式の装飾は、現存する最古の事例のひとつとされ、後の西欧建築に大きな影響を与えました。標高が高く人里離れた立地であったことから比較的良好な保存状態が保たれています。
神殿は南北に長い軸線を持つ点や、東西軸を基本とする一般的なギリシャ神殿とは異なる配置がとられている点でも特異とされています。19世紀初頭に発見されて以降、内部の彫刻装飾の多くは大英博物館に移され保存されています。神殿は現在、風雨や紫外線による劣化を防ぐため巨大な保護テントで覆われており、長期的な保存修復事業が続けられています。
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