ヴェネツィアとその潟は、イタリア北東部アドリア海沿岸に位置する潟湖上に築かれた都市とその周辺の湿地帯からなる世界遺産です。5世紀頃に本土から逃れた人々が浅瀬の島々に定住したことに始まり、中世から近世にかけて地中海交易の中心地として繁栄しました。
サン・マルコ寺院、ドゥカーレ宮殿、リアルト橋をはじめ、118の島々を結ぶ150以上の運河と400以上の橋が独特の都市景観を形成しています。ビザンティン、ゴシック、ルネサンス、バロックなど各時代の建築様式が混在し、ティントレットやティツィアーノなど画家たちの作品も数多く残されています。
造船施設アルセナーレでは中世に高度な分業体制による船の量産が行われ、ヴェネツィアの海洋国家としての経済力を支えました。街には自動車が入れず、移動は徒歩と船に限られており、ゴンドラをはじめとする水上交通が今も日常の生活手段として機能しています。
都市を囲む潟は、外海からの波を和らげる自然の防波堤としても機能し、住民は古くから水路の浚渫や堤防の維持管理によって潟と共生する技術を蓄積してきました。近年は高潮や観光による環境負荷が課題となっており、保全のための取り組みが続けられています。
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