アマルフィ海岸は、イタリア南部カンパニア州のソレント半島南岸に広がる沿岸地域からなる世界遺産です。中世には海洋都市国家アマルフィが地中海交易で繁栄し、ピサやジェノヴァと並ぶ海上共和国として栄えた歴史を持ちます。険しい断崖が海に迫る劇的な地形の中に、ポジターノやラヴェッロといった集落が階段状に築かれ、柑橘類やブドウの段々畑が斜面を彩っています。
アマルフィは10世紀に成文化された独自の海事法典「アマルフィ海法」を有し、地中海各地の海上貿易に影響を及ぼした先進的な海洋都市でもありました。アマルフィ大聖堂に代表される建築には、イスラム圏との交易を通じてもたらされたアラブ・ノルマン様式の装飾意匠が取り入れられています。
急斜面のわずかな平地を利用するため、住居や教会は階段状の路地でつながれ、垂直方向に伸びる独特の街並みを形成しています。周辺の斜面には現在もレモンの段々畑が広がり、地域特産のリモンチェッロなど柑橘を用いた産品の産地としても知られています。
自然の景勝美と人間が築き上げた集落・農業景観が調和した地中海沿岸景観の典型例として評価されており、崖に張り付くように建つ塔や見張り台も往時の防衛の歴史を伝えています。
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