ピエモンテとロンバルディアのサクロ・モンテ群は、イタリア北部の丘陵地帯に点在する9つの巡礼地からなる世界遺産です。16世紀末から17世紀にかけて、宗教改革に対する対抗宗教改革運動の一環として、エルサレムなど聖地への巡礼が困難な信者のために、キリストや聖人の生涯を再現した礼拝堂群が丘の斜面に建設されました。
各サクロ・モンテには数十の礼拝堂が巡礼路に沿って配置され、内部には等身大の彩色テラコッタ像とフレスコ画を組み合わせた立体的な情景表現が施されています。巡礼者は礼拝堂を順にたどることで、受難や殉教の場面を実際の空間の中で追体験できるよう構成されており、演劇的な演出も取り入れられています。
最初に築かれたヴァラッロのサクロ・モンテは、エルサレムの聖地の配置を模して構成されたと伝えられ、以後の各地のサクロ・モンテの基本形式となりました。礼拝堂群は森の小道に沿って点在し、巡礼者が歩を進めるごとに異なる場面へと導かれる空間演出が意図的に設計されています。
制作には彫刻家や画家が地域を越えて招かれ、地方の工房技術と中央の美術潮流が融合した様式が育まれました。宗教建築と造形芸術、丘陵の森林景観を融合させた独特の表現手法として評価されています。
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