ブコビナとダルマチアの府主教の邸宅は、ウクライナ西部の都市チェルニウツィーにある宗教建築群で、世界遺産に登録されています。19世紀後半、当時オーストリア帝国領であったこの地に、正教会ブコビナ・ダルマチア府主教区の中心施設として、チェコ人建築家ヨーゼフ・フラーフカの設計により建設されました。
ビザンティン、ロマネスク、ムーア様式などヨーロッパ各地の建築的要素を折衷的に組み合わせた独自の意匠が特徴で、多民族・多宗教が共存した当時のオーストリア=ハンガリー帝国の文化的多様性を反映しています。中心となる大聖堂のドームには色鮮やかなタイルが用いられ、幾何学文様による装飾が屋根全体を覆う独特の外観を形成しています。
敷地内には神学校や庭園も一体的に整備され、宗教教育と行政機能を兼ね備えた複合施設として計画されました。建物は現在チェルニウツィー国立大学の校舎として利用されており、宗教建築が教育施設へと転用された稀少な事例としても評価されています。庭園には礼拝堂や果樹園も配置され、宗教施設としての静謐な雰囲気と大学としての活気が共存する独特の空間となっています。
屋根瓦の文様には当時の帝国各地の意匠が取り入れられています。
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