ギリシャ北西部、ピンドス山脈の山岳地帯に広がるザゴリの文化的景観は、46の集落からなるザゴリア地方の伝統的な生活様式と建築文化が一体となった山岳景観です。石灰岩の谷や峡谷に囲まれた険しい地形のなか、住民は石造りの家屋や教会、共同体施設を築き、石畳の道や多数の石造アーチ橋によって集落間を結ぶ独自の交通網を発展させました。
厳しい自然環境と地理的な孤立を背景に、住民たちは牧畜や交易、出稼ぎを組み合わせた独自の経済活動と自治的な共同体制度を築き上げ、周辺地域とは異なる社会組織を長く維持してきました。石造建築の技術は住宅から教会、橋に至るまで一貫しており、地域全体で統一感のある景観を形づくっています。
冬季の積雪や厳しい気候に対応するため、住居は分厚い石壁と急勾配の屋根を持つ構造となっています。近隣には石灰岩が深く削られたヴィコス峡谷があり、世界でも有数の深さを持つ峡谷として景観に大きな影響を与えています。集落ごとに学校や図書館を備えた自治組織が発達し、出稼ぎで得た富が郷里の公共施設の整備に還元されてきたことも特徴です。
自然環境と人間の営みが調和した山岳文化的景観として、ヨーロッパにおける近年の登録例のなかでも注目を集めています。
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