バフラの砦は、オマーン北部の都市バフラにある中世のイスラム時代の要塞で、世界遺産に登録されています。13世紀から16世紀にかけて、この地域を支配したバヌ・ヌブハーン族の拠点として建設されたこの砦は、日干しレンガと石を組み合わせた独特の建築技法によって築かれており、アラビア半島における伝統的な要塞建築の代表例とされています。
砦は周辺のオアシス集落やスークとともに広大な城壁で囲まれ、防御機能と居住機能を兼ね備えた複合的な都市構造を形成していました。周辺には伝統的な地下水利システムであるアフラージュも整備され、乾燥地帯における水資源管理の知恵が都市機能と密接に結びついていたことがうかがえます。
20世紀後半に大規模な保存修復事業が行われ、劣化していた城壁や建造物の多くが復元されています。砦の敷地面積はアラビア半島でも最大級とされ、複数の見張り塔や貯水施設を備えた自己完結的な防御拠点として機能していました。修復の過程では伝統的な工法が可能な限り踏襲され、建築技術の継承にも寄与しています。
周辺に広がるオアシス地帯では今もナツメヤシの栽培が盛んに行われており、伝統的な農業と防衛拠点が一体となった生活圏の姿を今に伝えています。
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