カンボジアの記憶の場は、1975年から1979年にかけてクメール・ルージュ政権下で行われた大量虐殺の記憶を伝える複数の遺構からなる遺産です。首都プノンペンのトゥールスレン虐殺犯罪博物館(旧S21政治犯収容所)と、市郊外のチュンエク処刑場が中心的な構成資産となっています。
トゥールスレンはかつて高校であった建物が尋問と拷問の場に転用され、多数の市民が収容されました。チュンエクは連行された人々が処刑され埋葬された地であり、現在は慰霊塔が建てられ、発掘された遺骨や遺品が展示されています。
これらの場所は虐殺の実態を伝える証拠として保存されており、抑圧の中心であった空間を平和教育と歴史的反省のための場へと転換する取り組みの象徴とされています。国内外からの訪問者に対し人権の尊さを伝える教育的な役割も担っています。トゥールスレンでは収容者の顔写真や自白文書、拷問道具が当時のまま展示されており、生存者による証言活動も継続的に行われています。
チュンエクには集団埋葬穴の跡が保存され、慰霊塔には発掘された頭蓋骨が安置されています。二つの施設は負の記憶を後世に伝える記録保存の実践例としても国際的に注目されています。
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