ワディ・ウラヤは、アラブ首長国連邦フジャイラ首長国のハジャル山脈内に位置する自然遺産です。白亜紀後期の造山運動によって形成されたオフィオライト(海洋地殻)の露頭が広範囲かつ良好な状態で保存されており、地質学的に高い価値を持つとされています。
生態面では、ハジャル山麓の乾生林・低木地帯を代表する地域と位置づけられ、約883種の動物と216種の植物、合計およそ1099種が確認されており、うち少なくとも10種は世界的な絶滅危惧種です。国内の陸生哺乳類・爬虫類のおよそ半数がこの地域に生息しているとされます。
渓谷内には季節的に流れが生じるワディ(涸れ川)地形が広がり、岩盤に刻まれた水路や淡水の淵が独自の生態系を維持する基盤となっています。周辺の山岳地帯とあわせて長期にわたり開発から守られてきたことも、動植物相の保存状態が良好である要因の一つとされています。
地質学的には、海洋地殻がそのまま地表に露出したオフィオライトの形成過程を観察できる場所として注目されています。登録面積は2万2000ヘクタール、緩衝地帯は4500ヘクタールです。