エルビル城砦は、イラク北部クルディスタン地域の都市エルビルの中心部にある丘の上の要塞都市で、世界遺産に登録されています。楕円形の丘の頂上に築かれたこの集落は、紀元前6千年紀以降、数千年にわたり継続的に人が居住してきたとされ、世界で最も古くから絶え間なく人が住み続けている集落の一つに数えられています。
古代メソポタミア文明の時代から、アッシリア、バビロニア、イスラム王朝など様々な支配のもとで存続し、各時代の建造物が地層のように積み重なった特殊な地形「テル」を形成しています。城砦内にはオスマン帝国時代の住宅群やモスク、公衆浴場などが残されており、長期間にわたる都市の連続性を伝えています。
丘の周囲を取り囲む城壁と密集した住居群が一体となった円形の輪郭は、遠方からも視認できる象徴的な都市景観を形成しています。周辺の低地に広がる市街地とあわせ、古代から現代までの都市の重層的な発展過程を一望できる場としても評価されています。発掘調査では、地表からの深さによって時代ごとの居住層が明確に区分されることが確認されています。
20世紀後半には住民の移住により一時無人化しましたが、その後保存事業が進められました。
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