イラク南部のアフワル:生物多様性の保護地域とメソポタミアの都市の残存景観は、チグリス・ユーフラテス両河川の下流域に広がる湿地帯と、古代都市遺跡からなる複合遺産です。登録範囲には、渡り鳥の重要な生息地となっている広大な湿地帯3カ所と、古代都市ウル、ウルク、エリドゥの考古遺跡3カ所が含まれます。
湿地帯は葦を用いた高床式の伝統的住居や漁労、水牛の放牧など、独自の水上生活文化を育んできた場であり、メソポタミア文明発祥の地とされる南部低地の生態系を今に伝えています。ウルクは人類最古の都市文明の一つとされ、文字の発明もこの地で始まったと考えられています。ウルにはジッグラトが良好な状態で残され、旧約聖書に登場する族長アブラハムの出身地とも伝えられています。
湿地に暮らす住民は葦舟を用いた漁労や水牛の飼育を営み、葦を編んで造る伝統的な集会小屋ムディーフなど、メソポタミア南部の湿地帯に古くから根づく独自の生活文化を今に伝えており、聖書に登場する「エデンの園」の伝承地の一つともされています。
20世紀後半に政治的理由で大規模に干拓された湿地は、後年の再冠水事業により部分的に回復し、渡り鳥の飛来数も徐々に増えつつあります。
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