バムとその文化的景観は、イラン南東部ケルマーン州にある日干しレンガ造の要塞都市とその周辺の農業景観からなる世界遺産です。シルクロードの交易路沿いに位置し、少なくとも紀元前6世紀のアケメネス朝期には集落が存在していたとされ、中世には隊商交易と絹織物の生産で繁栄しました。
城壁に囲まれた旧市街アルゲ・バムは、住居、市場、モスク、統治者の居城などが密集する日干しレンガ建築群として知られ、乾燥地帯における大規模な泥造建築の代表例とされています。周辺にはカナートによって灌漑された農地が広がり、都市と農業が一体となった生活基盤を形成していました。
城塞の中心にそびえる統治者の居城からは市街全体を見渡すことができ、防衛と統治の両面を意識した設計であったことがうかがえます。2003年の大地震により大部分が崩壊しましたが、国際的な支援のもとで修復と再建が進められています。城塞内には浴場やバザール、馬場などの施設跡も確認されており、単なる防衛拠点にとどまらない都市機能を備えていたことがうかがえます。
周辺のカナートによる灌漑農地も文化的景観の一部として保護されており、日干しレンガの調達地や製造工程を伝える痕跡も見つかっています。
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