サーンチーの仏教遺跡は、インド中部マディヤ・プラデーシュ州の丘陵にある仏教建造物群からなる世界遺産です。紀元前3世紀、アショーカ王が仏教を国教として保護した時代に最初のストゥーパ(仏塔)が建立され、以後紀元後12世紀頃までの長期間にわたり増改築が重ねられました。
中心となる第一ストゥーパは直径約36メートルの半球状の構造を持ち、周囲には精緻な彫刻が施された4基の石造トーラナ(塔門)が配置されています。トーラナには仏陀の生涯や前世の物語が、仏陀の姿を直接描かずに菩提樹や法輪などの象徴で表す独特の表現技法によって刻まれており、初期仏教美術の重要な資料とされています。
周辺には僧院跡や礼拝堂跡、複数の小規模なストゥーパも点在し、仏教僧団の共同生活の様子を伝えています。アショーカ王が建立したとされる石柱も遺跡内に残り、初期仏教遺跡の中でも保存状態が良好な事例として評価されています。第一ストゥーパの周囲には信者が右回りに巡拝するための回廊が設けられ、仏塔を中心とした礼拝形式の初期の姿を伝えています。
19世紀の再発見以降、段階的な修復を経て現在の姿が保たれています。
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