ラニ・キ・ヴァヴ(グジャラト州パタンにある王妃の階段井戸)は、インド西部グジャラート州の都市パタンにある階段井戸で、世界遺産に登録されています。11世紀、ソーランキー朝の王妃ウダヤマティが亡き王の追悼のために建設を命じたと伝えられ、地下水位まで幾層もの階段が続く逆さ寺院とも称される独特の構造を持っています。
地上から地下へ7層にわたって連なる回廊と階段には、ヒンドゥー教の神々や女神、蓮の意匠など500点を超える精緻な彫刻が施され、単なる水利施設にとどまらない宗教的・美的空間として設計されています。中でもヴィシュヌ神の化身を表現した彫刻群は、当時の宗教観と芸術水準を伝える重要な資料とされています。
乾燥地帯における水資源確保という実用的な役割と、寺院に匹敵する荘厳な意匠とを両立させたこの建造物は、後年サラスワティー川の氾濫による土砂で埋没していたため、彫刻の保存状態が極めて良好な点も評価されています。20世紀後半の発掘調査によって全容が明らかになり、それまで地中に眠っていた彫刻群がほぼ完全な状態で姿を現しました。
井戸の壁面には800体を超える彫像が確認されており、南アジアの階段井戸建築の中でも最大規模の彫刻密度を誇ります。
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