Ninara from Helsinki, Finland, CC BY 2.0, via Wikimedia Commons
ペルシアのカナートは、イラン各地に分布する地下水路システムからなる世界遺産です。山地の帯水層から水を汲み上げることなく、緩やかな下り勾配を利用して地下トンネルで平地の集落や農地まで導水する技術で、少なくとも紀元前1千年紀にはこの地域で確立していたとされています。
掘削の際に開けられた縦坑が地表に等間隔で並ぶ様子は、上空から見ると特徴的な点線状の景観を形成しています。蒸発による水の損失を防ぎながら乾燥地帯で安定的に農業用水や生活用水を確保できるこの技術は、以後中東から中央アジア、北アフリカに至る広範な乾燥地域に伝播しました。登録範囲には、灌漑用の貯水池や水車、冷却施設など、カナートに関連する付帯施設も含まれています。
中には全長数十キロメートルに及ぶものもあり、数世代にわたる維持管理を要する共同体の水利慣行とも結びついて機能してきました。乾燥地文明を支えた総合的な水利技術として評価されています。登録対象には11か所のカナートが含まれ、それぞれ異なる地質条件のもとで築かれた掘削技術の多様性を示しています。
地表の換気孔は掘削時の土砂搬出や酸素供給にも利用され、長大なトンネルを安全に施工するための工夫として機能しました。
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